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かつて古民家だった空間が、パンの香りに包まれたダイナーに。ベーグル食べ放題とやさしい料理で、家族連れからひとりランチまで心地よく過ごせる鶴岡の人気店。エントランスベーグルアンドダイナーをご紹介します。
August 16, 2025
鶴岡市・家中新町。
町なかの通りから一本外れた先、細い路地の途中に、ぽつりと静かに佇む一軒家。かつて医師の住まいだったというその古民家が、今は「エントランス ベーグル アンド ダイナー」として、多くの人から愛される美食のダイニングになっている。
扉を開ければ、焼き立てのパンの香ばしい匂い。奥の厨房からは、スパイスの香りや煮込みの湯気。どこか懐かしく、それでいてモダンの空気をまとったこの場所は、ダイナーであり、まるで第二のリビングのようでもある。
ダイナー:主にアメリカでみられる、カジュアルな雰囲気でアメリカ料理を提供するレストラン
オーナーの池野さんが目指したのは「居心地のいい空間」。
この古民家にはなるべく手を加えず、もともとの構造や素材感を活かした店舗レイアウトを構築。長い年月が刻まれている木の床や柱、その質感をあえて残しながら、テーブルや椅子が配置されている。
リノベーションといっても過剰な装飾はない。空間に流れるのは、控えめで清潔な空気。
2階には畳の座敷が広がる。
子ども連れの家族がくつろげるようにと、あえて洋風のテーブルではなく、寝かせられる畳をそのまま使ったという。
「畳の店で洋食って、意外とないですよね」と池野さん。
さらに、敷地内には蔵を改装した空間も。
ここは季節限定の特別席。空調がないため夏と真冬は閉めているが、涼やかな春と秋には開放され、蔵ならではの重厚な静けさと、川風の涼しさが味わえる。まるで“離れ”のような雰囲気があり、非日常感を求めて訪れる人も少なくない。
店名に“ベーグル”と冠されている通り、この店の魅力のひとつがパン。
とくにランチタイムには、料理に合わせてパンが食べ放題で楽しめる。
パンの担当は、職人のなみきさん。もともとパンづくりは未経験だったが、焼き方、発酵、生地の調整…すべてを独学で積み重ねてきた。
「夏と冬で、同じレシピでも全然違うんです。最初は発酵の仕組みすら分からなくて。でも少しずつ、生地の手触りや香りで分かるようになってきました」
彼女が焼くパンは、小ぶりで食べやすいサイズ感のものが多い。
それが女性や子どもにも好評で、「ついもうひとつ」と手が伸びてしまう看板商品に。小麦や酵母に極端なこだわりはない。あくまで“料理に合うこと”、そして食べやすさを大切にしているとのこと。
「“これ美味しかった!”って、ホールスタッフが教えてくれることもあるんです。そういう声を聞いて、また次のパンを考える。ひとりで全部やってるので、大変だけど、それが楽しいですね」
料理のラインナップは和洋中の垣根にとらわれない“多国籍”。
だが、そのどれもが肩肘張らず、どこか家庭的で、やさしい味わいだ。
なかでも最近人気急上昇中なのが「スープカレー」。じっくり煮込まれたチキンと旬の野菜がたっぷり入り、中辛ながらもまろやか。サラサラと食べやすく、老若男女問わず好まれている。
リニューアル後、なんとわずか5ヶ月で2,000食を売り上げたという人気商品だ。
季節メニューのイチ押しは、一周年記念メニューの「バジルの冷製パスタ」。
香り高いバジルに海老とミニトマト、ジェノベーゼならではの松の実由来のクリーミーさにレモンの酸味がアクセントとなり、パンチが効きつつも爽やかな仕上がりの一皿。
食欲が落ちがちな暑い時季にもぴったりの一品だ。
また、パン食べ放題にミニサラダ、オニオンコンソメスープ、さらに台湾かき氷まで付くコース仕立てで、見た目にも楽しい。
「いろんなものをちょっとずつ食べたい」
そんな声に応えるために、メニュー構成にも“楽しさ”が込められている。
「幅広い年代の方に、いろんな使い方をしてもらえたらうれしいですね」
池野さんの言葉通り、この店の空間は自由度が高い。
1階はひとりでも気軽に入れるカフェのような雰囲気。2階は家族連れでのんびり気兼ねなく。蔵は特別なひとときを過ごしたいときに。表のガーデンでは、ペット連れのお客さんも訪れる。
“ベーグル”と“ダイナー”という名前が示すように、この店はパンの香りに包まれながら、日々の食事を楽しむための場所であると同時に、地域の小さな拠点のようでもある。
ふと立ち寄れば、やさしい光と焼き立ての香りが迎えてくれる。
日常の隙間に、ほんの少しの非日常を。
ここ「エントランス ベーグル アンド ダイナー」は、自由で楽しく、そしておいしい、まさに「みんなのダイニング」な、お店だった。
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